八坂神社御供社
鎮座地:京都市中京区御供町
祭神:素戔嗚尊(すさのおのみこと)、櫛稲田姫命(くしいなだひめのみこと)、八柱御子神(やはしらのみこがみ)
看板によると、
「貞観111年(869)都に疫病が流行した時、平安京の広大な庭園であった
神泉苑に六十六本の矛を立て祇園社(現八坂神社)の神輿を送り、祇園御霊会が行われた。当社は往古の神泉苑の南端にあたり、御霊会祭日である6月14日(明治以後は7月24日に変更)には斎場が設けられ、祇園社の神輿三基を安置し、神饌をお供えする。社名、町名はこのことに因むものである。明治六年村社に列格し、明治三十九年には村社を廃し、八坂神社の境外末社となる。当社は、四条京極にある御旅所に対して又旅所ともいわれている。」
さて、尊敬する、歴史研究家の中村武生先生の言葉を借りるとすれば、こういう看板は間違っていることも多々あるとのこと。
実際年代が間違っていたり、名前が間違っているなんてこともあります。そのため、なんでも鵜呑みにはしないようにしています。
だから、看板によると、といちいち書いているわけなんですが。
私はこの、神泉苑の南端、というのがどうも引っかかって調べてみました。
参考:日文研 花洛往古図(内容年代:平安時代末期-鎌倉時代)
平安時代の地図を現代の地図に置き換えるとこんな感じになります。
平安京オーバレイマップ を見てもよくわかると思います。
南端には違いないけれど・・神泉苑内にあったわけではないですね。
そして、「斎場」とありますが、斎場とは葬式や告別式をおこなう場所のことをいいます。そして平安時代は、穢れを忌み嫌うため、洛中しかもこんな大内裏の間近でそういったことは行うことはなかったはずだと思います。しかも三条院邸もありますしね・・。
八坂神社編「八坂神社」も見ましたが、境外末社として書かれているのは、御旅所西社(現四条西京極)、少将井御旅所東社(現四条西京極)、冠者殿社(現四条西京極)のみです。つまり、八坂神社では、境外末社としては正式に認めていないということになります。
神輿渡御巡行ルート地図には三条御供社は載っていますが、これは今のルートとなっていました。
となると、神泉苑の中にあった末社が、神泉苑の荒廃後に移転して、それと八坂神社の神が同じだったことから、後付けしたのかなぁとか考えています。とはいえ、神泉苑も調べてみないとわからないですね。
ちなみにこちらには祇園又旅社とあります。
裏側には、「安政元年寅年霜月」と書かれていました。
遅くとも江戸時代にはあったのですね。
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それはそれとして。
午後2時より、三条商店街内にある、又旅社(御供社)にて、
オハケ清祓式が行われます。
又旅社の鳥居の横に、斎竹が四隅に建てられ、幅7尺奥行2尺の芝に、3本の御幣がたてられます。
この芝は、神泉苑の水辺を表しており、御幣はそれぞれ八坂神社の神輿に乗っている神様の休まれる場所になります。
私は13時半頃到着。それでもなかなか良い場所で見ることができました。
神職が、御幣をひとつずつ持ってきて芝の上に立てます。
まずは中央。中御座神輿にあたります。
そして東。東御座神輿にあたります。
そして西。西御座神輿にあたります。
3本立ちました。
お祓いをして・・終了です。
15分くらいでした。
こちらに還幸祭の時の神輿渡御で神様が休まれるわけですね。
これで帰られる方もいましたが・・帰らないで!
このあとは本殿です。
本殿の中には式典が終わるまでは入れません。
参拝者に榊を渡し、本殿に供えていました。
式典が終わったら、還幸祭の無事を祈りましょうね。
参拝の記念授与があります。
ちなみに、下記のことが書かれていました。
『「八坂神社の 蘓(ソ)」
「蘓」は、我が国では飛鳥時代の昔から、滋養強壮・美容健康に効果のある食材として珍重されたチーズの元です。「蘓」という漢字が当てられたのは、牛の乳から別の製品であるチーズに再生されたからだと考えられます。特にこの「牛」と「蘓」は、八坂神社の御祭神素戔嗚尊(神仏習合時代は牛頭天王)と茅の輪伝説の神様蘓民将来のそれぞれの神名に繋がるものです。八坂神社では魔除け、厄除け無病息災の蘓民信仰から、古代の妙薬である「蘓」に、魔を滅するとされる「豆」を合わせて御神饌を調整いたしました。』
ん?なんか違和感・・。
蘇民将来の「ソ」は、「蘓」ではなく「蘇」ですね。
辞典で調べました。
「蘇」は、ソ、ス、よみがえると読みます。紫蘇や屠蘇、蘇我氏の「ソ」もこれですね。
「蘓」も、ソ、ス、よみがえると読み、異体字で第2水準(使用頻度が低い)となっていました。さらに〈名付け〉いき/はる 〈和訓〉ぬかえ/よみがえり とありました。
ま、漢字は当て字のようなので、ここはこだわらなくてもいいかな。
ただ、チーズの元も「蘇」なので、
なぜ「蘇」を「蘓」とあえて書いているのかは気になりますね。